【反証】栄養士が懸念する肉食のリスクとその真相

【反証】栄養士が懸念する肉食のリスクとその真相

栄養士が専門学校で学ぶ栄養学は、既存の教科書やガイドラインを基盤としており、最新の研究が反映されるまでに時間差が生じています。また、病気の詳細なメカニズムについても、深く扱われない傾向があります。


一方で、医学部においても栄養学はごく限定的にしか触れられないため、栄養と医学に関する知識は異なる領域で扱われているのが現状です。


そこで本記事では、栄養士や医師からしばしば指摘される肉食の懸念や“リスク”について、複数の科学的知見をもとに検証していきます。


 

日本人は欧州人と遺伝子が異なるから肉食は向いてない


■ 人類は人種・民族・地域に関係なく、99.9%の同じ遺伝子と生理的仕組みを共有しています。残りの0.1%に肌の色や体格、酵素の有無の違いなどが現れているにすぎません。日本列島にヒトが棲みついたのは約3万年前。稲作を始めて米を食べるようになったのは3千年前。しかし、アフリカで生まれた共通の祖先が肉を食べ始めたのは250万年前からです。アフリカに起源を持つ人類はやがて世界中に分布していきましたが、進化生物学の視点から見れば、日本人も欧州人も同じ人間です。農耕は数千年、肉は数百万年。この差を無視して「肉食は日本人に向かない」とするのは、生物学的にはかなり無理があります。

 

人それぞれ体質が異なるから合う・合わないがある


■ かつて完全肉食を支持したPaul Saladino(ポール・サラディノ)医師は、「バイオ個性」と呼ばれる概念について説明しています。バイオ個性とは、まさにこの「人それぞれ体質が異なる」という考え方ですが、彼はこの可変要因として、2つの要素を挙げています。「免疫機能」と「生化学反応」です。しかし、個々人によってこれら2つに多少の違いはあっても、その程度はいずれも誤差レベル。「選ぶべき食材の幅を覆すほど体質を左右することはない」というのが、彼の意見です。繰り返しにはなりますが、僕たち人類は皆アフリカで生まれ、人種さえ違っても依然として同じ代謝系を共有しているため、カラダに適した食材も一貫して共通しています。いわゆるバイオ個性と呼ばれる個人差が存在しても、それが人類全体に共通した仕組みを覆すほどの大きなものではない、というのが肉食の考え方です。

 

ビタミンCが不足するから壊血病になる

 

■ 「植物を食べなければ壊血病になる」という通説は、あまりに雑です。壊血病は確かにビタミンC欠乏で起こる病気ですが、だからといって“ビタミンC=植物からしか取れない”わけではありません。実際には、新鮮な赤身肉や内臓肉には少量ながらビタミンCが含まれており、その量でも壊血病の予防には十分だと考えられています。さらに、極地で何世代にもわたって肉や魚を主食としてきたイヌイットにおいて、壊血病が常態化していたという歴史的記録はありません。日本人とイヌイットは別民族ですが、人類は依然として99.9%の遺伝子と生理的仕組みを共有しています。ならば、彼らに可能だった栄養戦略が、我々にだけ絶対不可能だとする方がむしろ不自然です。加えて、現代でも長期的なカーニボア実践者の間で壊血病報告は極めて稀です。これは偶然ではなく、肉に含まれる微量のビタミンCと、糖質制限下での代謝適応によって説明がつきます。壊血病の本質は「植物不足」ではなく、「栄養が死んだ保存食ばかりを長期間食べる状況」にあり、大航海時代の塩漬け肉こそその典型です。新鮮な動物性食品を食べている限り、「肉食=壊血病」というイメージは人類史の前で崩れます。

 

食物繊維が不足すると腸内環境が悪化する

 

■ 「食物繊維が足りないと腸が終わる」というのは、現代栄養学が大げさに広めたイメージです。まず前提として、食物繊維は必須栄養素ではありません。必須栄養素とは、欠乏すれば「病気になって死亡する」ものであり、繊維にはそのような“必須性”がありません。実際、食事摂取基準でも繊維はRDAではなくAI、つまり“目安量”として扱われています。繊維が健康に良いとされる根拠の多くは観察研究であって、健康意識やその他の生活習慣の質など「交絡因子」を取り除けていません。介入研究でも繊維の効果はせいぜい限定的で、IBSでは不溶性繊維が腸内環境を悪化させる例や、繊維をゼロにしたら下痢や便秘がむしろ改善した例も報告されています。また、短鎖脂肪酸は繊維からしか作られないわけではなく、肉由来アミノ酸からもちゃんし生成されますし、ケトン体のβ-ヒドロキシ酪酸も腸内で酪酸に似た働きを持ちます。つまり、繊維がなくても腸は壊れるわけではなく、異なる代謝経路を通じてその健康が維持されるというのが肉食的な視点です。

 

LDLコレステロールが増えて心血管疾患のリスクが上がる

 

■ LDLは長年「悪玉コレステロール」と呼ばれてきましたが、この呼び方自体がかなり雑です。LDLは低密度リポタンパク質であり、コレステロールや脂質を血中で運ぶ輸送体にすぎません。そもそもコレステロールは細胞膜、ステロイドホルモン、胆汁酸の材料として不可欠であり、生命維持に必須の分子です。問題なのはLDLそのものではなく、“酸化・糖化されたLDL”です。高血糖や慢性炎症の環境下でLDLが酸化されると、それをマクロファージが取り込み、泡沫細胞となってプラーク形成に関与します。つまり本当に危険なのは、肉や卵で増えたLDLではなく、糖質過多と酸化ストレスで傷んだLDLです。しかもLDLにはエンドトキシンを結合して無害化する働きもあり、単なる悪者どころか防御システムの一部でもあります。さらに、カーニボアでは中性脂肪が下がりHDLが上がる傾向が見られ、脂質プロファイル全体としては改善するケースも少なくありません。Dave FeldmanのLean Mass Hyper-Responderの概念が示すように、LDL上昇には個人差があり、それ自体が直ちに危険を意味するわけではありません。加えて、食事性コレステロールがそのまま血中LDLに直結するわけではなく、人体は内因性合成を調整しています。結局見るべきは“量”だけではなく“質”であり、真に警戒すべきは酸化・糖化・慢性炎症です。1950年代のアンセル・キーズ以来、飽和脂肪悪玉説は強く浸透しましたが、その理論的土台には多くの限界が指摘されてきました。今なお「LDL=悪玉」で思考停止しているのは、栄養科学の進歩に無関心で、単なる無知からきています。

 

糖質が不足すると脳のエネルギーが足りなくなる

 

■ 「炭水化物を摂らないと脳が動かない」という主張は、代謝生理をほとんど理解していない人の発想です。確かに脳はブドウ糖を使いますが、それだけしか使えないわけではありません。糖質摂取が少なくなると、肝臓は脂肪酸からケトン体を産生し、脳はそれを安定した燃料として利用できます。しかもケトン体は単なる代替燃料ではなく、神経細胞にとってむしろ効率的で、血糖の乱高下を避けながら安定したエネルギー供給を可能にします。そのため、カーニボアやケトジェニックを実践する人の多くが「頭の霧が晴れた」「集中が続く」「精神的エネルギーが安定した」と感じるのは不思議ではありません。そもそも人類は数百万年にわたり、常に糖が潤沢にある環境で生きてきたわけではなく、むしろ糖が乏しい状況で脂肪とケトン体を使いこなす仕組みを進化させてきました。脳にとって本当にきついのは糖質不足ではなく、血糖スパイクとその後の急降下を繰り返す不安定な代謝環境です。

 

高たんぱく食は腎臓に負担をかける

 

■ 「肉を食べると腎臓に負担がかかる」という話は、重度の腎障害患者向けの注意を一般人にまで拡大解釈したものです。健康な腎臓はもともとたんぱく代謝産物を処理するために設計されており、肉を食べたからといってそれだけで壊れるようにはできていません。たんぱく質摂取後に尿素やクレアチニンが一時的に増えるのは正常な代謝反応であって、損傷の証拠ではありません。むしろ腎臓にとって本当に厄介なのは、高血糖・高インスリン・高血圧・慢性炎症といった糖代謝異常の方です。これらは糸球体や微小血管をじわじわ傷め、ろ過機能を悪化させます。カーニボアでは血糖変動が小さくなり、インスリン負荷も減るため、理屈としてはむしろ腎臓のストレス源が減る方向です。もちろん既に慢性腎臓病が進行している人は別ですが、「健康な人が肉をしっかり食べる=腎機能障害」というのは、かなり雑な恐怖の売り文句です。

 

野菜を摂らないと抗酸化物質が不足する

 

■ 「野菜を食べないと抗酸化物質が足りなくなる」という主張も、前提からしてズレています。まず、ポリフェノールやファイトケミカルの多くは必須栄養素ではありません。不足したからといって壊血病のような明確な欠乏症が出るわけではなく、“あれば何か良いかもしれない”程度の立ち位置に過ぎません。その一方で、植物にはシュウ酸、レクチン、ゴイトロゲン、各種ポリフェノールなど、消化管を刺激したり、ミネラル吸収を妨げたり、免疫を揺さぶったりする防御化学物質も豊富です。つまり、「抗酸化物質」として賞賛されるものの多くは、裏を返せば植物が自分を食べられないようにするために作った化学兵器でもあります。肉や卵、魚には、吸収率の高いビタミン・ミネラルに加え、カルノシンやタウリン、コエンザイムQ10など動物由来の防御物質も含まれています。さらに低糖質環境では酸化ストレスの原因そのものが減るため、「まず炎症を増やしておいて、あとから植物で火消しする」必要がなくなります。火事を起こしながら消火器を増やすより、火事の元を減らす方が合理的です。

 

肉食は体を酸性にして危険

 

■ 「肉を食べると体が酸性化する」というのは、尿と血液を混同したまま語られる典型的な誤解です。人間の血液pHは7.35〜7.45の狭い範囲に厳密に保たれており、このバランスが食事ごときで大きく崩れるようなら、その人はとっくに救急案件です。血液のpHは肺、腎臓、重炭酸系の緩衝機構によって常時調整されており、健康な人が肉を食べた程度で危険な酸性状態に傾くことはありません。一方で、尿のpHが酸性に傾くことはありますが、これは腎臓が余分な酸を正常に排泄している証拠です。つまり、酸性尿は代謝破綻ではなく、むしろ代謝が仕事をしているサインです。肉食で“体が酸性になる”という話は、教科書レベルの生理学を踏まえていない雑な脅しでしかありません。

 

腸内細菌には“個人差”があり肉が合わない人もいる

 

■ 確かに腸内細菌には個人差があります。しかし、それは原因ではなく“結果”です。腸内細菌は、日々の食事によって変化する“適応システム”にすぎません。つまり、僕たちの食事にただ適応しているだけ。だから、長年植物ベースの食事をしてきた人が短期的に肉の摂取量を増やせば、今まで植物に慣れていた菌が“違和感”を示す。言い換えれば、「なんだこの食事は?」と不満を言います。その“文句”が、硫化水素や発酵ガスの増加、膨満感、下痢や便秘です。これを「体に悪い証拠」と結論づけるのは、かなり雑です。それは単なる“適応過程の反応”にすぎず、むしろ食事が変わったことに対して体が調整を始めている証拠です。そして時間が経てばどうなるか。数週間から数ヶ月で、腸内細菌は新しい食事内容に合わせて再構成され、今度はその食事に対して“最適化”されます。これは特別な話ではなく、研究でも繰り返し観察されている現象です。それにもかかわらず、「いつもと違う反応が出た=危険」と判断するのは、因果を逆に捉えています。変化は異常ではなく、適応のプロセスです。結局、「肉が合わない人がいる」という話の多くは、適応前の一時的な状態を切り取っているだけです。腸内細菌は固定化されたものではなく、食事によって変わり続ける存在。この前提を無視して“個人差”だけで片付けるのは、栄養学的にはかなり無理があります。

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